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相続人申告登記
不動産を相続により取得した際に必要となる、いわゆる相続登記の申請が義務化されることはご存知でしょうか?
これまでは、相続が発生しても相続登記はせずに置いておくこともしばしば見受けられました。
確かに、これまでは処分する必要がない状況でしたら、あわてて相続登記をするメリットはなかったのも事実です。
今日そのような事情から多くの人が相続登記を放置していたことにより、いわゆる「所有者不明土地」という社会問題としてとりあげられるようになりました。
このような事情から、相続登記の申請が義務化されることとなったのです。
しかし、相続登記が義務化されたと知っても早急に対処することは可能なのでしょうか?
例えば祖父の不動産の相続人の一人であることが判明しても、誰がその不動産の相続人となるのか協議(いわゆる遺産分割協議)がまとまらなかったら登記がしにくかったのも事実です。なぜなら今までは遺産分割協議がまとまらなかった場合は、法定相続分割合で相続人全員が名義人となる形で登記するしかなかったからです。
この法定相続分での登記は色々問題があり、例えばこの不動産を後々処分しようと思えば、相続人全員で売却するかもしくは再度協議をして所有者の数を絞って処分する必要や、相続登記の申請をする人が戸籍の収集費用や登記申請費用・相続登記をする際にかかる登録免許税を現実的には負担しないといけないという問題があったため、現行のままで相続登記が義務化されることは非現実的でした。
そこで発案されたのが、この相続人申告登記です。
この登記は、①相続が発生し不動産を取得する可能性のある相続人が、②自ら相続人であることを申請義務の履行期間である3年以内に法務局へ申し出ることで申請義務を履行したとみなされる制度です。この制度は、申出人のみで申請できることや相続人全員の戸籍を取得する必要がなく上記の法定相続分での登記よりもはるかに簡略化されているため、過料を逃れるためにとりあえず手を打ちたいと考えている方は、この登記を申請することをお勧めします。
ただし、相続人の一人がこの相続人申告登記をしても、他の相続人は義務を履行したとはみなされないため注意が必要です。
この制度に興味がある方は、当事務所にご相談ください。